今回登場するのは、なんと創業124年の老舗企業。大川でもっとも歴史のある家具メーカーの一つ、伝統的な収納家具や婚礼家具を手がける喜多製作所さんにお邪魔しました。

●船大工から出発し、コツコツ取り組んで120余年

1887（明治20）年創業の喜多製作所さんは、大川でもっとも古い時代から事業を展開する老舗企業の一つ。「初代は船大工です。二代目の頃から船に飾るタンスを作るようになり、親父の時代には総桐タンスを手がけるようになっていましたね」と語るのは、現在社長を務める四代目の喜多憲一さん。社長に就任してからは、大学で建築を学び建設会社で働いてきた経験を生かして、家具を積極的にPR。奥様の茂子さんと二人三脚で数多くの展示会に出品し、全国に販路を広げていきました。

「細々コツコツやることが大事です。そして家具づくりで特にこだわってきたのは、長く使ってもらえる家具を作ること。そして壊れないように作ることです」。30代の若手から職人歴40年以上のベテランまで10名の社員を束ねる社長の想いは、ぶれることなく一貫しています。

●タンスは前だけじゃない。造りにこだわる本物の家具づくり

「タンスは前だけじゃなくて、裏、引出しの中、組み方、どういう造りをしているか、そこをしっかり見てほしい」と熱弁する喜多社長。さっそく工場で実物を拝見することにしました。
引出しの前板と側板は伝統的なあり組み工法を用います。驚くのは引出しの軽さ。引き手に指をかけ軽く引いただけでスッと滑るように引き出せます。棚板にもご注目を。奥までしっかり組込まれておりシートを貼っているので表面にツヤがあります。衣類を汚れと傷から守るための隠れた工夫。またタンスの背面には合成板のパーチクル材を使用するのが一般的ですが、水分を含みやすくふくれてしまう性質があるので、同社では通気性に優れたバルサム材を使います。防虫・防カビ対策もバッチリです。
「伝統の技術を受け継ぎしっかりと守ってきたからこそ、長く続いてきたんじゃないかと思います」と、常務の康憲さん。これからも確かな存在感を発揮してくれそうです。

■有限会社　喜多製作所

【住所】 福岡県大川市酒見841　　【電話】 0944-86-4075（お問合せ受付9時〜17時／日祝日除く

【FAX】 0944-87-1806　　【HP】 http://kitaseisakusyo.jp/